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ベトナムお役立ち情報

【執筆者】弁護士 入江

名前;入江克典

所属;渥美坂井法律事務所ホーチミンオフィス(Atsumi & Sakai Vietnam)

役職;同オフィス代表、弁護士(パートナー)

得意分野;法務全般

会社ウェブサイト;https://www.aplawjapan.com/offices/ho-chi-minh-city

連絡先;katsunori.irie@aplaw.jp

NEW 法務
2025/01/23

【法務】1、ベトナム法制度の概要(2)

【法務】1、ベトナム法制度の概要(2)
Q1-3 司法制度、紛争解決方法について教えてください。 A:日本と同様、当事者間での交渉が決裂した場合、弁護士名義で書面を送付し交渉を継続した上、交渉がうまくいかない場合には裁判や仲裁といった紛争解決手段にでることが一般的に行われています。 日本国内であれば裁判により紛争を解決することが多いですが、ベトナムの国内裁判所は外国投資家が利用するには必ずしも適しておらず、仲裁が好まれる傾向にあります。 以下の表では、ベトナム国内・外における裁判・仲裁利用時の留意点についてまとめています。 ベトナム国内 ベトナム国外 裁判;手続きが公開となり、審級ゆえに長期化の可能性が有る他、言語の選択が不可 判決の中立性、公平性にも問題があり、外資企業にとって不利となる傾向。長期化の傾向もあり避けることが望ましい。 日本などの裁判所で有利な判決を得ても、相互保証がないため執行が事実上困難。 仲裁;言語、場所、専門知識を有する仲裁人の選任を含め、手続きをある程度自由にアレンジ可能 ベトナム仲裁センター(VIAC)が有名で、取扱件数も増加傾向。 東京やシンガポールでの仲裁が選択されるケースが多い。ただし、ベトナムでの執行リスクあり(外国仲裁判断の執行には、ベトナムの裁判所を経由する必要gああり、不当な理由で拒絶されることもあるとされる)
NEW 法務
2025/01/23

【法務】1、ベトナム法制度の概要(1)

【法務】1、ベトナム法制度の概要(1)
Q1-1 ベトナムの法制度の特徴について教えてください。 A:ベトナムは、フランス統治以前の伝統的法体系及びフランス統治下の大陸法の影響により、制定法が重視されています。 また、憲法において「社会主義的法治国家」であると規定されているとおり、共産党の一党独裁の下、欧米型の三権分立を採用せず(民主集中制)、私人による土地所有権を認めないなど、社会主義体制下で見られる特徴もあります。 以上により、ベトナムにおいては、全ての法的なルールを法令や通達(法規範文書)に定めたうえで市民社会を規律しようという考え方が根本に存在します。 近時では、1986年のドイモイ政策の採用、市場経済システムの導入、1995年のASEAN加盟、2007年のWTO加盟を経て、企業法、証券法などの市場経済に関連する法令においては、概ねグローバルスタンダードに則しているといえます。先進諸国による法整備支援も行われており、日本政府(JICA)の支援により民法典、民事訴訟法典などが改正されています。 Q1-2 法実務・運用上の留意点について教えてください。 A:まず、法令について、法令上の記載が曖昧で一義的でない、法令間における矛盾・抵触がある、法律の施行細則の公布の遅れのため実務運用が明確になるまで時間を要するといった問題点があります。 そして、それらの結果、当局担当官によって運用が異なる(運用が進まない)、場合によって手続促進のために金銭等を求められるといったことが生じます。 また、2015年より最高人民裁判所において「判例選定制度」が開始され、同裁判所が選定した判決又は決定に限り先例として拘束力が認められることとなっています。判例が引用、適用されるケースは増加している一方、当該判例のどの部分が拘束力を持つのか明確ではない判決等もあり、具体的な判例の適用事例の集積によって、その運用がより明確になっていくものと考えられます。

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